年齢を重ねても安心して暮らせる住まいへ。段差をなくしたフラット設計は転倒リスクを減らし、快適な生活動線を実現します。将来を見据えたバリアフリーリフォームのポイントをご紹介します。
- 施工内容
- バリアフリーリフォーム
- 施工エリア
- 栃木県芳賀町
- 施工場所
- リビング・玄関・洗面所・トイレ
- 工期
- 5日
段差のない住まいがもたらす安心と快適
住まいの中にあるわずかな段差は、若いころは気にならなくても、歳を重ねるごとに転倒リスクへとつながります。玄関の上がり框や敷居、浴室やトイレの出入口など、生活動線に潜む「ちょっとした段差」が日常の安心を脅かすことも少なくありません。フラットな設計にすることで、こうしたリスクを根本から取り除き、快適で安全な生活を支えます。
段差をなくす工夫は、安全性の確保だけでなく、日常生活の快適さをも高めます。移動がスムーズになることで身体への負担が減り、掃除や家具の移動もラクになります。また、将来的に車いすや歩行補助具を利用することを見据えて設計しておけば、大きな改修を繰り返すことなく長く住み続けられる住まいになります。
生活の中で潜む“つまずきリスク”を解消
段差はわずか1〜2cmでも高齢者にとってはつまずきの原因になります。夜間のトイレ移動や急ぎ足のときに転倒事故が起こることも少なくありません。段差を解消することで移動の不安がなくなり、安心して生活できる環境を整えることができます。
また、段差がなくなることで、日常的な掃除機がけやロボット掃除機の稼働もスムーズになり、住まい全体を常に清潔に保ちやすくなる点も見逃せません。
将来の介助や車いす利用を想定した設計
今は必要なくても、将来的に車いすや歩行器を使う可能性は誰にでもあります。そのとき、出入口に段差があると移動の大きな障害になってしまいます。はじめから段差をなくしておけば、介助者が並んでサポートしやすくなり、生活の自由度が大きく高まります。
さらに引戸の採用や廊下幅の確保などと組み合わせれば、安心して長く暮らせるバリアフリー住宅が実現できます。
毎日の掃除・家事もラクになるメリット
段差のないフラットな床は、清掃性や日常の作業効率の面でも優れています。掃除機やモップをかけるとき、段差を気にせず一気に動かせるため、ストレスがありません。特にロボット掃除機を導入している家庭では、段差があると移動の妨げになるため、フラット設計は大きなメリットになります。
また、洗濯物や荷物を持って移動する際にもつまずく心配がなく、家事の効率化と安心を同時に得られるのが段差解消の魅力です。
空間別・段差解消の実践アイデア
住まいの中で段差が目立つ場所は限られています。玄関や廊下、トイレや洗面、浴室や脱衣室など「必ず毎日通る場所」だからこそ、改善の効果が大きく実感できるのです。段差の要因は床の高さの違いや敷居の納まり、水まわりの防水処理などが中心です。空間ごとに適切な方法を選ぶことで、無理なくフラット化を進められます。
ここでは、代表的な生活空間ごとの段差解消のアイデアを紹介します。将来のライフスタイルの変化も見据えながら、場所ごとの工夫を取り入れていきましょう。
玄関・廊下:框の低段差化と敷居レス
玄関は段差が大きくなりやすい場所です。上がり框の段差を抑えるために式台を設置したり、床をかさ上げして高さを合わせる方法があります。また、廊下や室内の扉周辺にある敷居はつまずきの原因になりやすいため、撤去して敷居レスにすることで安全性が高まります。
あわせて引戸化を行うと段差を生み出すレールが不要になり、スムーズな通行が可能になります。廊下の幅を確保すれば、将来車いすや介助が必要になったときにも安心です。
トイレ・洗面:出入口段差ゼロと手すり配置
トイレや洗面は日常的に何度も利用する場所です。出入口の段差を解消するには、床の高さを揃え、開き戸を引戸に変更するのが効果的です。床材には耐水性と滑りにくさを兼ね備えた素材を選ぶと、清掃性と安全性が両立します。
さらに、立ち座りの動作をサポートする手すりを配置すると安心感が増します。縦手すりと横手すりを組み合わせることで、動作の一連がスムーズになり、転倒リスクが減少します。
浴室・脱衣室:ノン段差出入口と温熱環境
浴室の段差は転倒事故につながりやすいポイントです。ユニットバスのリフォームではノン段差タイプを選び、浴槽のまたぎ高さも抑えると安全性が大きく向上します。脱衣室との境には水返しの工夫を施し、漏水を防ぎながら段差を解消できます。
さらに冬場のヒートショックを防ぐために、浴室暖房乾燥機や脱衣室暖房を導入すると快適性が高まります。段差をなくすだけでなく、温熱環境まで考慮することで、高齢期の入浴を安心して楽しめる空間が整います。
長く安心して住み続けるための計画と工夫
段差をなくすリフォームは、一度にすべてを直そうとすると費用や工期が大きくかかることもあります。そこで大切なのは、生活での使用頻度やリスクの高さに応じて優先順位をつけ、段階的に計画することです。例えば夜間移動の多い寝室とトイレの間を優先し、次に玄関や浴室といった順序で取り組むと効果的です。
また、床材の更新や建具交換など、もともと予定していたリフォーム工事と同時に段差解消を進めると効率的です。コスト削減につながるだけでなく、工事回数を減らして生活への影響を最小限に抑えられます。
引戸化と床材更新を同時に進める
段差の原因の多くは建具の敷居や見切り材です。これを撤去して上吊り引戸に変更すれば、床の段差を根本からなくすことができます。床の張替えと同時に施工することで、納まりが美しく、メンテナンス性にも優れた空間をつくることが可能です。
床材はノンスリップ加工やワックス不要のタイプを選べば、日常の手入れが簡単で安全性も確保できます。視認性を高めるために、床と壁や建具の色に適度なコントラストをつけることも有効です。
「掴む・座る・照らす」を同時にアップデート
段差解消に加えて、手すりの設置や腰掛けスペース、夜間の足元照明などをセットで導入することで安全性が飛躍的に向上します。特に手すりは連続して配置することを意識し、移動の途中で掴みやすい環境を整えることが重要です。
夜間は人感センサー付きの照明を組み合わせると、スイッチを探す手間なく安全に移動できます。小さな改善を積み重ねることで、長く安心して住める住まいが実現します。
助成制度や減税の活用で費用を抑える
バリアフリー改修は、多くの自治体で助成金や補助金の対象となるケースがあります。手すりの設置、段差解消、通路幅の拡張などは、条件を満たせば費用の一部を補助してもらえる可能性があります。また、住宅ローン減税や所得税控除といった制度を組み合わせることで、経済的な負担を軽減することも可能です。
制度を上手に利用すれば、より現実的なコストで将来に備えた住まいづくりが進められます。計画段階で専門業者に相談し、最新の制度を確認することをおすすめします。
段差解消におすすめの商品3選
フラットな住まいを実現するために役立つ、実在する国内メーカーの商品を厳選しました。安全性とデザイン性を両立し、長く快適に暮らせる住環境づくりをサポートします。
LIXIL「ラシッサS 室内引戸(上吊りタイプ)」
- 床レール不要で段差のない出入口を実現
- 開閉が軽く、介助や車いすでも通行しやすい
- 豊富なデザインとカラー展開で内装に調和
住まいの段差をなくすために最適な上吊りタイプの引戸。安全性と意匠性を両立し、長期的に快適な暮らしを支えます。
TOTO「インテリア・バー(UD手すり)」
- 用途や設置場所に応じた多彩なラインアップ
- 握りやすい形状と確実な固定で高い安全性
- カラーが豊富で空間デザインに馴染む
「掴む場所」を確保することで、段差のない住まいをさらに安全に。転倒防止や介助のサポートに役立ちます。
DAIKEN「ハピアフロア(バリアフリー対応)」
- 段差解消しやすい納まり設計で施工性に優れる
- 耐傷性・耐汚性に優れた仕上げでメンテナンス性抜群
- 木目や石目などデザインバリエーションが豊富
床の高さを揃えながらデザイン性も維持できる床材。安全で美しい住まいを長く楽しめるバリアフリー設計に欠かせないアイテムです。